
「工作船資料館」
こんにちは!秀吉ヤングです。
横浜のみなとみらいエリアといえば、赤レンガ倉庫やカップヌードルミュージアムなど、華やかで楽しい観光スポットが目白押しです。
しかし、そのすぐ隣に、日本の平和と安全について深く考えさせられる、極めて重要な施設があることをご存じでしょうか。
それが今回ご紹介する北朝鮮の工作船資料館である「海上保安資料館 横浜館」です。
ここには、2001年に発生した「九州南西海域工作船事件」で自爆・沈没し、後に引き揚げられた北朝鮮の工作船(実物)が展示されています。
今回は、平和な日常のすぐ裏側で実際に起きていた事件の証人とも言えるこの資料館を、写真と共に詳しくご紹介します。
海上保安資料館横浜館とは

「海上保安資料館横浜館」は、2004年に開館した施設で、横浜海上防災基地に併設されています。
通称「工作船資料館」とも呼ばれるこの場所の最大の特徴は、なんといっても「実物の工作船が丸ごと展示されている」という点です。
館内に入った瞬間、独特の鉄と油、そして錆びた匂いが鼻をかすめます。
そこにあるのは模型やレプリカではなく、実際に銃撃戦を行い、海底に沈み、そして引き揚げられた「現実の船体」です。

日本の領海を守る海上保安庁の業務や、海上の重要性について学ぶことができますが、エンターテインメント性は一切ありません。
その分、圧倒的な「事実の重み」が空間を支配しており、訪れる人々に無言の問いかけを続けています。
アクセスや営業時間、料金
観光地である「赤レンガ倉庫」から徒歩ですぐの場所にありながら、意外と知られていない穴場スポットでもあります。
なんと、これだけの貴重な資料がありながら入館料は無料です。
- 施設名:海上保安資料館 横浜館
- 住所:神奈川県横浜市中区新港1-2-1(横浜海上防災基地内)
- アクセス:
- JR根岸線・横浜市営地下鉄「桜木町駅」から徒歩約15分
- みなとみらい線「馬車道駅」または「日本大通り駅」から徒歩約10分
- 「赤レンガ倉庫」のすぐ隣です。
- 開館時間:10:00~17:00(最終入館は16:30)
- 休館日:月曜日(祝日の場合は翌平日)、年末年始
- 入館料:無料
九州南西海域工作船事件とは

展示されている船を理解するために、まず知っておかなければならないのが「九州南西海域工作船事件」です。
2001年(平成13年)12月22日、九州南西海域にて、不審な船(漁船を装った工作船)が発見されました。海上保安庁の巡視船が停船命令を出しましたが、不審船はこれを無視して逃走。
激しい追跡の末、不審船は巡視船に向けて自動小銃やロケットランチャーでの攻撃を開始しました。これに対し、海上保安庁も正当防衛射撃を実施。
最終的に工作船は自爆し、沈没しました。
この事件は、日本国内において戦後初めて海上保安庁の巡視船が船体への射撃(危害射撃)を行った事例として、また日本の排他的経済水域内で外国の武装工作船と銃撃戦になったという事実において、日本中に大きな衝撃を与えました。
工作船(実物展示)

館内の中央に鎮座するのは、全長約30メートルもの巨大な船体です。
一見すると、どこにでもありそうな古びた漁船に見えます。
しかし、近づいてよく見ると、その異様さが浮き彫りになります。

船には日本の漁船を偽装するために日本語の船名が書かれていた取り外しのできる板も確認できます。

さらに船体には、海上保安庁の巡視船から受けた銃撃の弾痕が無数に残っています。
また、海底に沈んでいたことによる腐食や錆が、事件の凄惨さと時間の経過を物語っています。


スピードを早く出すために船内の半分以上が大型のエンジンであり、船の厚さも通常の漁船とは違いかなり薄い造りになっています。
このように通常の漁船とは明らかに異なるエンジンの出力構造や、隠密行動をとるための特殊な形状など、細部を見れば見るほど、これが「ただの船ではない」ことが肌感覚で伝わってきます。
工作船の内部・観音開き構造
この工作船の最も恐るべき特徴は、船尾(船の後ろ部分)に隠されていました。

一見すると普通の船尾ですが、実は「観音開き」の扉になっており、そこから小型の上陸用ボート(子舟)を発進させることができる構造になっていたのです。

これは、母船(この工作船)が沖合に停泊し、そこから子舟を使って日本国内の海岸へ密かに工作員を上陸させたり、物資を運搬したりするための仕掛けです。
北朝鮮の工作船の一番の特徴とも言えます。
回収された子舟も展示されていますが、レーダーに映りにくい形状をしており、まさにスパイ活動のために特化したプロ仕様の装備であることがわかります。
押収した武器や押収品

船体の周囲には、引き揚げられた際に回収された遺留品や武器が展示されています。
ここにあるものが、日本に向けられていたという事実に背筋が凍ります。

ZPU-2(対空機関銃): 船内に隠されるように設置されていた、2連装の強力な機関銃です。本来は航空機を撃ち落とすための兵器であり、こんなものを漁船に積んでいること自体が異常です。


B-10無反動砲・RPG-7: 戦車などの装甲を貫くためのロケットランチャー類です。

AKS-74(自動小銃): 工作員が所持していた銃器です。錆びついてはいますが、その形状ははっきりと分かります。
一方で、日常的な品々も展示されています。 日本製の携帯電話、お菓子の袋、即席麺、金日成のバッジなど。


これらは、彼らが日本の沿岸、あるいは国内に深く関与していたことを示唆しています。
「武器」という非日常と、「お菓子」という日常が同じショーケースに並んでいる光景は、言葉にできない不気味さを感じさせます。
まとめ

横浜の観光スポットの喧騒から一歩足を踏み入れるだけで、そこには現実の「国境の最前線」がありました。
海上保安資料館横浜館にある工作船は、映画のセットでも作り物でもありません。日本の海で実際に起き、死者が出た事件の証拠品です。
あの錆びた鉄の塊は、「日本の平和は当たり前にあるものではなく、誰かが守っているからこそ存在している」という事実を、これ以上ない説得力で私たちに教えてくれます。
入館無料で、写真撮影も可能です。
横浜へ遊びに行った際は、ショッピングの合間にぜひ立ち寄ってみてください。
きっと、普段のニュースの見え方が変わるような、忘れられない体験になるはずです。


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