太陽の塔(内部)&EXPO’70 パビリオン紹介【1970年】

太陽の塔(内部)

EXPO’70 パビリオン

こんにちは!秀吉ヤングです。

今回は、1970年に大阪万博が開催された吹田市の「万博記念公園」内にある「太陽の塔」「EXPO’70 パビリオン」をご紹介したいと思います。

大阪万博のシンボルとして知られる「太陽の塔」。

その独特なフォルムは誰もが一度は目にしたことがあるのではないでしょうか?

今回は、実際に現地へ行き、事前予約が必要な内部見学も体験してきました。

太陽の塔

大阪・吹田市に位置する万博記念公園。その中心にそびえ立つ「太陽の塔」は、高さ約70メートル、腕の幅はおよそ30メートルという圧倒的なスケールを誇る巨大彫刻です。

この塔は、1970年に開催された「日本万国博覧会(通称・大阪万博)」のシンボルとして制作されたものであり、日本近代史における芸術とテクノロジーの融合を象徴する存在です。

制作者は、日本を代表する芸術家・岡本太郎。

彼は「芸術は爆発だ!」という有名な言葉で知られていますが、その精神は太陽の塔のあらゆる部分に色濃く反映されています。

一般的な建築やモニュメントとは一線を画し、人間の根源的な生命力や時空を超えた精神性を表現するために、独創的かつ挑戦的なデザインが採用されました。

塔は、当時の「テーマ館」の中央部に位置し、地中から天へと突き抜けるような形状で設計されています。その姿はまるで、大地から生まれ、宇宙へ向かって力強く成長する“いのち”の象徴のよう。

塔全体は、過去・現在・未来という時間の流れを体現する3つの顔によって構成されています。

  • 黄金の顔(塔の頂上):未来を象徴。太陽の光を浴びて輝くその姿は、希望や進化の可能性を表現しています。万博当時は塔の内部から突き出ており、ドームの屋根を突き破るようなインパクトのある設計でした。
  • 中央の顔(正面):現在を意味します。訪れる人が最初に目にするこの顔は、人間の“今この瞬間”を直視するような存在感で、観る者に強いインパクトを与えます。
  • 黒い太陽(背面):過去を象徴。塔の裏側にひっそりと存在し、万物のルーツや原始の記憶を想起させる、不気味で神秘的な表情を持ちます。

これらの顔が一つの塔に共存していることで、太陽の塔は単なるモニュメントではなく、人間の存在や宇宙観を深く問いかける芸術作品そのものとして、今なお多くの人々の心を捉えて離しません。

1970年の万博閉幕後、太陽の塔はそのまま万博記念公園に保存されることになりましたが、長年にわたり内部の公開は停止されていました。時代の流れとともに忘れられつつあったこの巨大オブジェは、2018年、約48年ぶりに内部公開が再開されることで再び脚光を浴びることになります(※内部については別セクションで詳しくご紹介します)。

現在では、芸術や建築の専門家はもちろん、子どもから大人まで幅広い層が訪れ、「見上げる」だけではなく「体感する」アートとして、その魅力を再発見しています。

太陽の塔内部

外観だけでも十分にインパクトのある太陽の塔ですが、実は内部こそが岡本太郎の真骨頂とも言える芸術空間です。2018年に一般公開が再開され、今では事前予約制で内部見学が可能となっています。

見学時間は約30分。塔の中をじっくり歩いて上がる、まるで生命の進化をたどる旅のような体験が待っています。

太陽の塔の内部見学は、ただの建築探訪ではありません。それはまるで、“人類の記憶”をたどるような壮大な体験。まず最初に訪れるのが、塔の地下部分にある展示空間です。

「地底の太陽」──かつて失われた幻の作品が蘇る

1970年の大阪万博当時、太陽の塔の地下には「地底の太陽」と呼ばれる空間が存在していました。そこは原始の世界を象徴する神秘的な展示空間であり、壁面には各文明の神々や仮面が配置され、中央には直径3メートルの球体のオブジェ「地底の太陽」が輝いていました。

しかし、万博閉幕後にこのオブジェは行方不明となってしまい、長らく“幻の作品”とされていたのです。

それから約50年の時を経て──2018年の再公開に合わせて「地底の太陽」は新たに再現・復元されました。岡本太郎の原案をもとに、過去の資料や写真を徹底的に調査して生まれ変わったこの球体は、今も地下展示室の中央に、黄金に輝きながら存在しています。

世界中の神々と仮面が並ぶ「いのちの祭壇」

地下空間には、「アステカ」や「アフリカ」「縄文」「インド」など世界各地の文化圏から集められた神々や仮面のレプリカが壁一面に配置されています。それらは、岡本太郎が“いのちの根源”を表現するために選び抜いた存在たち。国や時代を超えて、人類が本能的に感じてきた「神秘」や「祈り」のかたちがそこにあります。

異国の仮面たちと、「地底の太陽」を中心に広がるこの空間は、まさに太陽の塔の胎内とも言える場所。人間がまだ理性を持つ前、純粋な本能とともに生きていた時代の記憶を、空間全体で表現しています。

光と音が導く「原初の記憶」

地下展示エリアは、照明の演出も非常に印象的。暗がりの中に浮かぶ神々の顔、地底の太陽の金色の反射、微かに響く環境音…。どれもが、まるで時空を超えて呼びかけてくるような不思議な空気感を生み出しています。

この空間に一歩足を踏み入れた瞬間、日常の感覚とは切り離され、「太陽の塔の内部に入った」という実感がじわじわと湧いてくることでしょう。


この地底の展示は、太陽の塔の芸術性を理解するうえで非常に重要なパートです。見学の冒頭でありながら、実はもっとも“深い”世界。これを体感したあとに続く「生命の樹」や「進化の空間」への流れも、より一層意味を持って感じられるようになります。

神秘的な地底展示を抜けた先に現れるのが、太陽の塔の内部でもっとも印象的な構造物──生命の樹(せいめいのき)です。

これは、岡本太郎が「いのちのエネルギーを、ありのまま、巨大な形で表現したい」と語っていた、塔の中核をなす芸術作品。高さはなんと約41メートル、地下から塔の最上部近くまで貫くようにして伸びています。

命の系譜をたどる、38体の生物模型

生命の樹には、下から上に向かって38体の生物模型が取り付けられており、それぞれが生命進化の過程を象徴しています。

  • 根元には原始生物(アメーバやクラゲ)
  • 中央付近には古代魚や両生類、爬虫類
  • 上部に近づくにつれ哺乳類や霊長類
  • 最上部には人類の祖先にあたるホモ・サピエンス

それぞれの模型は個性的で、カラフルな塗装やデフォルメされたフォルムがとても印象的。「写実的」ではなく「生命力」を重視した岡本太郎らしい表現となっており、一つひとつに見入ってしまいます。

階段を少しずつ登るたびに、まるで人類の祖先たちの背中を追いかけているかのような不思議な感覚になります。

音と光が織りなす“生命の鼓動”

生命の樹のまわりは、照明と音響によって幻想的な空間に演出されています。変化するライティングに照らされた生物たちは、生きているかのように見え、どこか鼓動すら感じさせる雰囲気。流れている環境音やナレーションも、緊張感と神秘性を一層高めています。

この空間全体が、ただの展示ではなく「生命そのものを体感する劇場」のような役割を果たしており、訪れる人の心に強く刻まれるのです。

芸術と科学の融合空間

太陽の塔の内部構造は、芸術作品でありながら、どこか自然史博物館のような要素も持ち合わせています。しかし、その展示手法は決して学術的に整理されたものではなく、岡本太郎の直感と情熱によって、あえて“混沌”として構成されています。

それこそが彼の目指した世界。「理屈ではなく、生命の力を“感じる”空間をつくる」──その言葉通り、訪れた人は誰しも理屈を超えて何かしらの感情を動かされる瞬間を体験することでしょう。


この「生命の樹」のエリアは、太陽の塔の象徴そのものであり、見学全体の中でも最も記憶に残るパートです。ここを過ぎると、いよいよ塔の上部──未来を表現する静謐な空間へと移っていきます。

それでは、太陽の塔の内部見学の最終章──塔の最上部に広がる「未来の空間」についてご紹介いたします。ここは、「黄金の顔」=未来に通じるエリアであり、見学のクライマックスを飾る場所でもあります。


「生命の樹」を囲む階段をゆっくりと上がり、進化の道をたどりきった先──そこに待っているのが、太陽の塔の最上部に広がる空間です。このエリアは、塔の頂部に設けられた「黄金の顔」と対応しており、“未来”を象徴する空間としてデザインされています。

一変する空気──“進化”から“静寂”へ

これまで通ってきた地下展示や生命の樹のエリアは、音と色と形が溢れ、まさに生命の爆発を感じさせる空間でした。しかし最上部に到達すると、空気が一変。音が抑えられ、照明もやや落ち着いたトーンに。壁や天井には幾何学的なパターンや抽象的なモチーフが配置されており、観る者の想像力を刺激します。

ここに立つと、まるで静かな宇宙の中に浮かんでいるような感覚に包まれます。生命の根源から進化を経て、やがて未来へ向かう――その長い旅の終着点にふさわしい、神聖で穏やかな雰囲気です。

黄金の顔とのつながり

この空間のすぐ上に位置するのが、塔の外観でもひときわ目を引く「黄金の顔」。未来を象徴するこの顔の内側に、私たちは今、立っているのです。実際に顔の内部が見えるわけではありませんが、その位置関係を知ることで、この空間に一層の意味が生まれます。

岡本太郎は「未来とは予測するものではなく、自ら創るものである」と語っていました。この空間は、その“未来”を一人ひとりが内側で感じ、想像するために設けられた場所なのかもしれません。

見学時間は30分ほどですが、内容の濃さとインパクトの強さは、時間を遥かに超える体験となるでしょう。

外に出て見上げる太陽の塔は、もうただの“モニュメント”ではありません。内部の記憶を宿した、生きた芸術作品としてあなたの心に深く刻まれているはずです。

EXPO’70 パビリオンとは

EXPO’70 パビリオンとは、1970年に開催された「大阪万博」の記念館です。
大阪万博の開催から40周年を迎えた2010年に公開されました。

この建物は1970年当時、日本鉄鋼連盟が出展したパビリオン「鉄鋼館」として公開されていました。
開催期間中は約700万人もの人が来館したとのことです。

館内には、当時の貴重な資料や展示物の一部、写真や映像、模型、スペースシアターなどが展示されています。

ちなみに、総合プロデュース・建物の設計は、建築会の重鎮「前川國男氏」です。

利用料金・利用時間・定休日

利用料金は以下のようになっています。

高校生以上210円
中学生以下無料

利用時間は
午前10時から午後5時まで (入園は午後4時30分まで)

定休日は、水曜日です。

建物外観

正面

EXPO’70 パビリオン(旧鉄鋼館)の外観は鉄筋コンクリートで作られています。
設計は、前川國男氏です。

裏側

建物裏側は、大量のツタで覆われおり、コンクリートの無機質さと自然のツタの緑との対比が楽しめるようになっています。

展示

展示は、建物の階段を上がって2階になっています。
1階でも日時によっては、特別展などを行っています。

入り口前には、大阪万博を代表する「太陽の塔」の当時の模型が展示されています。

そして、入り口には桜の形をモチーフにしたシンボルマークが飾られています。

中に入ります。

通路はすべて赤色となっていて、壁には大阪万博開催の歴史が書かれています。

シンボルマークのデザインは、日本のグラフィックデザイナーである大高猛氏

また、当時の貴重な資料が数多く展示されています。

当時の制服
岡本太郎氏の手のイス

展示の中でも、僕が一番お気に入りなのは、暗い部屋の中にある太陽の塔の模型です。

1970年にタイムスリップしてみたいですねー笑

スペースシアター

EXPO’70パビリオンの中でメインの展示でもあるのがこの「スペースシアター」です。

スペースシアターは、世界初立体音楽堂の円形劇場で、約1000個のスピーカーが壁や天井に設置され、全方向から音楽を楽しめるようになっていました。

また、音楽に合わせてレーザー光線を放射し、40パターンの演出を見ることができたそうです。

現在は、このホール内に入ることはできませんが、ガラス越しにスペースシアターを見ることができます。さらに、当時の演出も音楽と共に鑑賞することができます。

さいごに

「太陽の塔(内部)」「EXPO’70 パビリオン」の紹介は以上です。

万博公園では、太陽の塔の内部に入れたり、隣にエキスポシティや水族館ニフレルができたりと多く楽しめる場所があり、休日にもなれば沢山の人で混雑しています。

しかし、「EXPO’70 パビリオン」は、休日でも人は多くないのでゆっくりと大阪万博の展示を楽しむことができると思います。
なので、1970年当時の大阪万博に興味がある方や、人混みが苦手な方はぜひ「EXPO’70 パビリオン」に足を運んでみてはいかがでしょうか。

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