
建築デザインで見る
世界のパビリオン一覧
こんにちは!秀吉ヤングです。
今回は、2025年に開催された大阪・関西万博(EXPO 2025)。
世界中の国や企業が独自のテーマで建てたパビリオンは、まさに「建築の祭典」とも言えるほどの見ごたえがあります。
この記事では、実際に会場を歩きながら各国パビリオンの外観を撮影してきました。
建築デザイン・素材・雰囲気など、写真とともにリアルな現地の様子をお届けします。
世界の文化や思想が「建物」という形で表現された大阪万博。
有名建築家による前衛的なデザインから、伝統を感じる装飾まで、
「建築だけでも行く価値がある」と感じた理由を、実際の写真を交えて紹介していきます。
- 🇺🇸 アメリカ館|Imagine What We Can Create Together
- 🇫🇷 フランス館|光と再生の建築
- 🇵🇭 フィリピン館|WOVEN ― 編みこまれた文化
- 🇶🇦 カタール館|Sea Curtain ― 海と砂の物語
- 🇨🇦 カナダ館|Regeneration ― 再生の国
- 🇨🇭 スイス館|Sharing Water
- 🇦🇹 オーストリア館|Composing the Future
- 🇵🇹 ポルトガル館|Sea and the Senses
- 🇦🇪 アラブ首長国連邦館(UAE Pavilion)|Earth to Ether
- 🇰🇼 クウェート館|Vision of the Future
- 🇨🇳 中国館|The Flower of Harmony
- 🇧🇭 バーレーン館|Connecting Seas – Anatomy of a Dhow
- 🇹🇲 トルクメニスタン館|Inspiring a Better Tomorrow
- 🇳🇴 北欧館(Nordic Pavilion / Nordic Circle)|Circle of Trust
- 🇲🇹 マルタ館|Temporal Gateway
- 🇲🇾 マレーシア館|Weaving a Future in Harmony
- 🇮🇪 アイルランド館|Triskele × 木材の調和
- 🇳🇵 ネパール館|“山・文化・響き”の物語
- 🇰🇷 韓国館|“With Hearts”──メディア建築で伝統と先端をつなぐ
- 🇦🇿 アゼルバイジャン館|Seven Bridges for Sustainability
- 🇹🇭 タイ館|Bhumipiman – the Land of Immunity
- 🇪🇸 スペイン館|Kuroshio Current ― 海と太陽をかたちに
- 🇧🇪 ベルギー館|Water and Human Regeneration
- 🇮🇹 イタリア館|Art Regenerates Life
- 🇧🇬 ブルガリア館|Evolution with Nature
- 🇳🇱 オランダ館|Circular Energy & Water Narrative
- 🇸🇦 サウジアラビア館|伝統都市構造と変革の物語
- 🇷🇴 ルーマニア館|Romanian Magic Box(魔法の箱)
- まとめ
🇺🇸 アメリカ館|Imagine What We Can Create Together

設計:Trahan Architects
木質ファサードの2棟と、宙に浮くように設計されたキューブが特徴的な建築。
キューブには大型LEDが組み込まれ、アメリカの技術や文化を象徴する映像が投影されます。
テーマは「Imagine What We Can Create Together(共に創造しよう)」。
未来へ向けた挑戦と多様性を体現したデザインです。
📸 写真の見どころ:キューブが浮かぶように見える正面構図。木質素材とメタリックのコントラストが美しい。
🇫🇷 フランス館|光と再生の建築

設計:Coldefy + CRA–Carlo Ratti Associati
プレファブ構造による循環型(サーキュラー)建築。
モジュール単位で再利用可能な設計がなされており、「光」「再生」「持続可能性」をテーマに掲げています。
外壁の垂直リブが光を取り込み、内部ではアートとエコロジーの融合を感じられる空間構成です。
📸 写真の見どころ:垂直リブ越しに差し込む自然光と、外部から内部へ続くスパイラル動線。
🇵🇭 フィリピン館|WOVEN ― 編みこまれた文化

設計:Carlo Calma Consultancy + Cat Inc.
テーマは「WOVEN(編まれた)」。
1,000本以上のラタンと212枚の手織りパネルで構成されたファサードが印象的。
経糸と緯糸が人と自然のつながりを象徴し、伝統素材を現代建築に昇華させています。
📸 写真の見どころ:ラタンの編み目が作る光と影の模様。可動式の編みフード部分の立体感。
🇶🇦 カタール館|Sea Curtain ― 海と砂の物語

設計:隈研吾建築都市設計事務所(KKAA)
伝統的な木造船「ダウ船」をモチーフに、帆をイメージした白い膜と木組みを組み合わせた軽やかな構造。
建物を囲む水盤が「海に浮かぶ船」を表現しています。
内部では3面映像と立体展示により、カタールの歴史と未来をつなぐストーリーが展開されます。
📸 写真の見どころ:帆状の膜と木組みの陰影、水盤に映る建築の反射。
🇨🇦 カナダ館|Regeneration ― 再生の国

コンセプト:Regeneration(再生)
春先に氷が割れ流れる現象「Ice Jam」をモチーフにした外観が特徴。
白い氷塊のようなボリュームが積層し、内部の温かみのある木質空間と対比をなしています。
自然と再生をテーマに、カナダらしい調和のデザインが際立ちます。
📸 写真の見どころ:氷塊状の白い外壁と、赤い“CANADA”サインの対比。
🇨🇭 スイス館|Sharing Water

設計:Bureau A + Republica AG
テーマは「Sharing Water(水を分かち合う)」。
建築は白い“バルーン状の膜構造”で、軽く膨らんだ形が特徴。
内部では水循環や気候変動に関する体験展示が行われ、環境への意識を喚起します。
素材には再利用可能な軽量膜(ETFE)が用いられ、解体後も再使用できるサステナブル設計です。
📸 写真の見どころ:膨らんだ膜構造のやわらかな質感と、光を透かす白いファサード。
🇦🇹 オーストリア館|Composing the Future

設計:Querkraft Architekten
テーマは「Composing the Future(未来を共に奏でる)」。
リサイクル素材を用いた木造ハイブリッド構造で、人と自然の調和を意識した設計。
開放的な空間の中で風と音が響き合う“呼吸する建築”を目指しています。
音楽文化を重んじるオーストリアらしい「共鳴」をデザインの中心に据えています。
📸 写真の見どころ:木の柱と曲線的な屋根の構成、内部の自然光のリズム感。
🇵🇹 ポルトガル館|Sea and the Senses

設計:Saraiva + Associados
テーマは「Sea and the Senses(海と感覚)」。
ポルトガルの海洋文化を表現したデザインで、波のようにうねる屋根形状が印象的。
外壁は白で構成され、伝統のアズレージョ(タイル模様)を現代的に再解釈しています。
自然光と風を取り込み、五感で海を感じる建築空間です。
📸 写真の見どころ:波打つ屋根のシルエットと、青と白の清潔感ある外観。
🇦🇪 アラブ首長国連邦館(UAE Pavilion)|Earth to Ether

設計:Norman Foster / Foster + Partners
テーマは「Earth to Ether(大地から天空へ)」。
湾岸地域の建築様式をもとに、砂丘の形状と太陽光の反射を活かしたデザイン。
環境素材やナツメヤシの木材を使い、伝統技術と最先端構造を融合させています。
開閉式の屋根が日射を調整し、自然エネルギーを最大限活用する建築です。
📸 写真の見どころ:翼のように開く屋根と、砂のような質感を持つ外壁。
🇰🇼 クウェート館|Vision of the Future

設計:PACE + SSH International
テーマは「Vision of the Future(未来へのビジョン)」。
砂丘をイメージした曲線的なフォルムの外壁が印象的。
伝統的なアーチ構造を取り入れつつ、最新の冷却技術で屋外空間でも快適さを実現しています。
中東建築の象徴である“砂”と“光”を近未来的に再構成したデザインです。
📸 写真の見どころ:曲線外壁と、日光にきらめくアーチの連続。
🇨🇳 中国館|The Flower of Harmony

設計:China Architecture Design & Research Group
テーマは「The Flower of Harmony(調和の花)」。
巨大な竹巻(巻物)をモチーフにした構造で、中国の伝統美と現代技術を融合。
屋根部分は竹の節を思わせるリズムを持ち、外壁には詩文や文様が刻まれています。
日光を透過する半透明素材が使われ、昼夜で異なる表情を見せる建築です。
📸 写真の見どころ:竹巻のように湾曲した外観と、夕暮れ時に光る半透明の屋根。
🇧🇭 バーレーン館|Connecting Seas – Anatomy of a Dhow

設計:Lina Ghotmeh Architecture
バーレーン館は「Connecting Seas(海をつなぐ)」をテーマに、ダウ船(伝統的な航海船)をモチーフとした形態を採用。伝統的な航海文化と海洋とのつながりを建築で表現しています。
木材と開口を活かした構造が特徴で、日本の木工技術と組み合わせた意匠も見られます。
📸 写真の見どころ:帆船を思わせる曲線ライン、木材の細部、構造の軽やかな動き。
🇹🇲 トルクメニスタン館|Inspiring a Better Tomorrow

設計:株式会社アトリエ・ブルックナー(Atelier Brückner GmbH)
トルクメニスタン館のテーマは「Inspiring a Better Tomorrow(よりよき明日を鼓舞する)」。
特徴的なのは、円形を基調とした屋根形状と、三角形天井を組み合わせた構造で、それぞれ「循環」「持続性」「生命の流れ」を象徴するとされています。
📸 写真の見どころ:円形屋根と三角形天井のコントラスト、屋根内部構造の重なり。
🇳🇴 北欧館(Nordic Pavilion / Nordic Circle)|Circle of Trust

設計:Gagarin Interactive, Kvorning, Rintala Eggertsson Architects
北欧5か国(デンマーク、フィンランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデン)合同のパビリオン。テーマは「Circle of Trust(信頼の輪)」。照明・音響・季節感の変化を演出する体験型デザインで、自然との共生・信頼を象徴する円形のフォルムが中心に据えられています。
素材として再生可能木材を多用しており、可変照明や映像を使って時の流れを意識させる展示空間となっています。
📸 写真の見どころ:吊り下げられた「信頼の輪」構造、光と影の演出、木質素材の温かみ。
🇲🇹 マルタ館|Temporal Gateway

設計:エドウィン・ミントフ氏
マルタ館は、石灰岩風の外壁をまとった外観から始まり、狭い入口を水で縁取り、マルタの海食洞窟(シーケーブ)の入り口を彷彿とさせる構成。外からは静的だが、内部に入ると光と影の演出が強まり、時間的変化を感じさせる“時間の門(Temporal Gateway)”として設計されています。
古代的な美意識と最新技術を組み合わせ、外壁は静かに見せながらも内部は映像や空間変化で驚きを与える構成です。
📸 写真の見どころ:スリムな入口と水面、石灰岩風質感、光と影のグラデーション。
🇲🇾 マレーシア館|Weaving a Future in Harmony

設計:隈研吾建築都市設計事務所(Kengo Kuma & Associates)
マレーシア館のデザインは、伝統的織物「ソンケット(songket)」に着想を得て、竹スティック約5,000本を用いた編み込みの外装を構成。曲線的なリボン状の模様が布のように流れる印象を与えます。屋内にはマレーシア産の竹も取り入れ、光を透過するような素材使いと、繊細な陰影を意識した構成です。夜間は外装が金銀糸のように光を放つ演出となります。
📸 写真の見どころ:竹のスティックが織りなすリボン状パターン、光を透かす編み目、外装の流麗さ。
🇮🇪 アイルランド館|Triskele × 木材の調和

設計:Office of Public Works Ireland + TSP Taiyo Japan
アイルランド館は、古代ケルト文様「トリスケル(triskele)」をモチーフに設計され、三つの円弧的な空間が交錯する構成となっています。外装はアイルランド産ダグラスファー材(木材)で覆われており、日本との木造建築文化の対話を意図しています。建物はモジュール的で、再利用可能な素材を多用するなどサステナビリティにも配慮されています。
また、入口前にはアーティスト Joseph Walsh による彫刻 “Magnus Rinn” が設置され、文化的・創造的な対話性を象徴しています。
📸 写真の見どころ:トリスケル形状の交錯、木材外装の質感、彫刻 “Magnus Rinn” と建築の対比。
🇳🇵 ネパール館|“山・文化・響き”の物語

2025年7月19日に開館。内部はヒマラヤの風景・仏教美術・食文化を軸に構成され、来場者はシンギングボウルの体験やネパール料理も楽しめる。
建築としての詳細な設計者・構造コンセプトの公式公開は少なく、空間は“文化体験の器”として演出が主役。
📸 写真の見どころ:屋根と開口部のディテール、仏教モチーフ周りの素材感。
🇰🇷 韓国館|“With Hearts”──メディア建築で伝統と先端をつなぐ

設計:Architect JINBOK WEE
総面積約3,502㎡。27m×10mの巨大メディアファサードを正面に据え、建築要素を最小化してマルチメディア駆動の没入体験に振り切った構成。外装は白一色と曲線で韓国の“線(seon)”の美を表現し、韓山モシ(Hansan ramie)などの伝統テキスタイル意匠を取り入れる。会期後の解体・再利用も前提としたサーキュラー設計。
📸 写真の見どころ:メディア壁の全景、白い外装の曲線とテキスタイルの質感。
🇦🇿 アゼルバイジャン館|Seven Bridges for Sustainability

設計:Bellprat Partner
外観は7つのアーチがリズミカルに連なる象徴的なプロファイル。内部は360度スクリーンによる没入展示を核に、資源・文化・観光のストーリーを体験的に提示します。
📸 写真の見どころ:7連アーチの抜け感、円形シアターの包囲感。
🇹🇭 タイ館|Bhumipiman – the Land of Immunity

設計:Architects 49(A49)
“大地(Bhumi)と健康・回復”をキーワードに、日射を調整する庇・陰影計画や、風通しの良い動線で五感的な体験を設計。素材と光のコントラストで“土地の力”を印象づけます。
📸 写真の見どころ:庇と柱のリズム、アプローチ方向のプロポーション、明暗のグラデーション。
🇪🇸 スペイン館|Kuroshio Current ― 海と太陽をかたちに

設計:ENORME Studio + Smart and Green Design + Extudio
黒潮(Kuroshio)と太陽をモチーフに、海流の有機的な曲線と光環境を建築化。循環型デザインの考え方を取り入れ、展示と建築が一体となって“海と太陽の国”を可視化します。
📸 写真の見どころ:外周の流れる曲線プロファイル、海・太陽モチーフのファサード。
🇧🇪 ベルギー館|Water and Human Regeneration

設計:Cyril Rousseaux(Carré 7)等コンソーシアム
ベルギー館のテーマは「水(Water)」と「ヒューマン再生(Human Regeneration)」。
建築は3層構成で、3つの水の状態(液体・固体・気体)を象徴する層を通じて、水の本質と生命との関係を表現。
また、展示内容としては、生命科学・医療技術・健康技術の先端分野を紹介する構成になっています。
📸 写真の見どころ:三層構造の外観、水がテーマを象徴するファサードの陰影と重なり。
🇮🇹 イタリア館|Art Regenerates Life

設計:MCA(Mario Cucinella Architects)
イタリア館は「Art Regenerates Life(芸術が命を再生する)」をテーマに掲げています。
建築構成として、劇場(Theatre)、柱廊(Portico)、広場(Piazza)、庭園(Garden)を象徴的要素として含み、イタリアの都市空間のアイデンティティを反映。
モジュール木材構造、低インパクト材料、エネルギー・水管理技術など持続性を重視した設計も特徴。
📸 写真の見どころ:柱廊と広場の構成、木材構造の質感、庭園との連続性。
🇧🇬 ブルガリア館|Evolution with Nature

設計:Share Architects 等プロジェクト名 “Evolution with Nature”
ブルガリア館は「Evolution with Nature(自然との進化)」をテーマに据え、バクテリア(微生物の共生)の概念を建築表現に取り入れているという設計案が公表されています。
📸 写真の見どころ:自然性と構造との融合感、建物表皮と自然要素の連続性。
🇳🇱 オランダ館|Circular Energy & Water Narrative

設計:RAU Architects + DGMR + Tellart + 日本建設企業連合
オランダ館は、円形構造と「人為の太陽(man-made sun)」を中心に据えた展示構成。
建築設計にはサーキュラー建築・持続可能性を重視した要素が含まれ、オランダらしい水との共生・技術革新を表現。
展示体験デザインは Tellart が担当、来訪者に水とエネルギーのストーリーを体験させる演出が組み込まれています。
📸 写真の見どころ:中心の球体シンボル、「水」のモチーフを使った外観、円形空間の内部構成。
🇸🇦 サウジアラビア館|伝統都市構造と変革の物語

設計:Foster + Partners
サウジアラビア館は、伝統的な都市構造や街並みを引用しつつ、文化的伝統と近未来的ビジョンを重ね合わせる空間体験を目指す設計です。水際に位置し、展開空間は「都会のストリートを探訪するような動線構成」で来訪者を導きます。
📸 写真の見どころ:街並み的ファサード、伝統的モチーフと現代構造の交差、コートヤード空間。
🇷🇴 ルーマニア館|Romanian Magic Box(魔法の箱)

設計:公式名は明記されていませんが、プロジェクト名「Romanian Magic Box」
ルーマニア館は「Romanian Magic Box」をテーマに、五感を刺激するインタラクティブな構造として設計。外壁は木材+柱列で構成され、光と影の演出を通じて“発見の旅”を誘います。
展示空間にはホログラムや映像を重ね、館内外で“魔法箱”的な体験を作り出す設計。
📸 写真の見どころ:木材の外壁構成、柱列のリズム、光影の変化、箱構造の印象。
まとめ

今回紹介した各国パビリオンは、“建築そのもの”が語りかけてくる空間ばかりでした。
国ごとに異なる歴史・気候・文化を背景に、形・素材・光の使い方までもがその国の哲学を表しています。
大阪・関西万博は「未来社会の実験場」と言われていますが、
それは単に技術を見せる場ではなく、建築を通して“人と地球のあり方”を問い直す舞台でもあります。
世界中の建築家たちがこの数年間かけて描いた“未来のかたち”を、
自分の足で歩き、目で見て、肌で感じる——その体験こそが、万博の本質だと感じました。
写真を通じて少しでもその空気が伝われば幸いです。


コメント