
夏の貴船で貴船神社・流しそうめん・鞍馬寺を巡ってきました
こんにちは!秀吉ヤングです。
夏の京都といえば「とにかく暑い」というイメージがあります。実際、京都の市街地は歩いているだけで汗が止まらなくなるほどの暑さでした。
しかし、同じ京都市内でも北部の山あいにある貴船まで来ると、空気が明らかに違います。
道路沿いには貴船川が流れ、頭上は木々に覆われているため日陰も多く、市街地より体感で5℃ほど涼しく感じました。
何より気持ちよかったのが、絶えず聞こえてくる川の音です。水が流れる音を聞きながら歩いているだけでも、不思議と暑さや疲れが和らぎます。
上流にあるため水の透明度も高く、これまで実際に見た川の中でも一番きれいだと感じるほどでした。
今回は大阪から日帰りで貴船を訪れ、夏の名物である川床の流しそうめんを食べたあと、貴船神社の本宮・結社・奥宮を参拝。その後は電車で鞍馬へ移動し、山を登って鞍馬寺の本殿金堂まで向かいました。
貴船神社の清らかな水や静かな奥宮、宇宙とのつながりを説く少し不思議な鞍馬寺など、同じ一日とは思えないほど内容の濃い旅になりました。
この記事では、実際に歩いた順路や夏の混雑状況、流しそうめんの待ち時間、大阪駅からのアクセスなども含めて、写真と一緒に紹介していきます。
大阪駅から貴船へのアクセス

大阪駅から貴船神社へ向かう場合は、JR・京阪電車・叡山電車を乗り継ぎ、最後にバスを利用する方法が分かりやすいです。
主なルートは以下になります。
JR大阪駅→JR京橋駅→京阪京橋駅→出町柳駅→叡山電車・貴船口駅→京都バス「貴船」
大阪駅から京橋駅まではJR大阪環状線を利用し、京橋駅で京阪電車に乗り換えます。京阪電車の終点である出町柳駅まで行き、そこから叡山電車の鞍馬行きに乗車。約30分で貴船口駅に到着します。
貴船口駅で降りたら、駅前にある「叡電貴船口駅前」バス停から京都バス33系統に乗り、終点の「貴船」で下車します。バスに乗っている時間は5分ほどです。
貴船口駅から貴船までは歩くこともできますが、距離は約2kmあり、徒歩では30分ほどかかります。貴船に着いてからも神社や流しそうめんのお店まで歩くため、体力を残しておきたい人はバスを利用した方が楽です。
乗り換えの待ち時間にもよりますが、大阪駅から貴船までは2時間ほど見ておくとよいでしょう。
僕は電車を乗り継ぎ、最後だけバスを利用しました。各交通機関ではICOCAが使えたため、切符を何度も購入する必要はありませんでした。
詳しいバスの運行状況は、出発前に貴船神社公式サイトのアクセス案内で確認しておくと安心です。
車はおすすめしにくい?道幅の狭さと夏の混雑に注意
大阪から車で行くこともできますが、個人的にはあまりおすすめしません。
貴船口から貴船神社へ続く道路は道幅が狭く、場所によっては車同士がすれ違うのも大変そうでした。その狭い道を路線バスや旅館の送迎車、観光客が行き来します。
歩道が整備されていない場所も多いため、運転に慣れていない人にとってはかなり気を使うと思います。夏の川床シーズンは交通量も増え、渋滞や交通規制が発生することもあります。
また、今回流しそうめんを食べた「ひろ文」には、流しそうめん利用者向けの駐車場がありません。
せっかく到着しても車を停められない可能性があるため、夏の貴船へ行くなら公共交通機関が無難です。
夏の貴船は本当に涼しい?京都市街より約5℃低く感じる別世界

貴船は京都を代表する避暑地として知られています。
京都市街地より気温が5~10℃ほど低くなるともいわれていますが、実際に訪れてみても、体感温度が明らかに違いました。市街地では少し歩くだけで汗が出るほど暑かったのに、貴船では日陰に入ると風が涼しく感じられます。
山に囲まれているため直射日光が当たりにくく、道路の横には貴船川が流れています。川の上を通ってくる冷たい空気と、頭上を覆う木々の影が天然のクーラーのようでした。
ただし、貴船口駅から貴船神社周辺までは上り坂が続きます。涼しいといっても真夏なので、歩いていると汗はかきます。それでも日差しが直接当たる場所が少ないため、街中を歩くよりはかなり過ごしやすかったです。
貴船川の音と木陰が心地よい

貴船を歩いていて特に印象に残ったのが、絶えず聞こえてくる川の音です。
勢いよく流れる水の音が道路まで響き、歩いている間もずっと耳に入ってきます。車が通る道路沿いでありながら、川の音と木々のおかげで自然の中にいる感覚が強くありました。

川沿いには料理旅館や川床のお店が並んでいます。京都らしい建物と緑、透き通った川が一つの景色になっており、どこを撮っても夏らしい写真になります。
上流ならではの透明な水は、人生で一番きれいでした

貴船川は鴨川の上流にあたり、水が驚くほど澄んでいます。
川底の石がはっきり見えるほど透明で、光が当たると水面が青緑色に輝いていました。これまで旅行や登山でいろいろな川を見てきましたが、個人的には人生で一番きれいな水だと感じました。
ただ涼しいだけではなく、水を見たり、音を聞いたりしながら過ごせることが、夏の貴船の大きな魅力だと思います。
映画『リバー、流れないでよ』のロケ地を歩く

貴船は、ヨーロッパ企画による映画『リバー、流れないでよ』の舞台にもなっています。
『リバー、流れないでよ』は、冬の貴船にある旅館で2分間の時間が繰り返されるタイムループコメディです。物語の中心となるのが、貴船神社の鳥居前にある老舗料理旅館「ふじや」です。
映画はセットではなく、実在するふじやや貴船神社で撮影されています。映画公式サイトによると、2023年1月に撮影が始まり、途中で強烈な寒波と大雪に見舞われながらも、2月から3月に追加撮影を行って完成したそうです。
舞台となった老舗料理旅館「ふじや」

ふじやは貴船神社の本宮に続く鳥居のすぐ向かいにあります。
映画の中では旅館の玄関や客室、貴船川沿いなど、建物のさまざまな場所が登場します。映画を知ってから訪れると、普通の観光とは少し違った聖地巡礼も楽しめます。

映画では雪に覆われた静かな冬の貴船が描かれていますが、僕が訪れた夏は青もみじが生い茂り、川床を目当てに多くの人が訪れていました。同じ場所でも、映画とはまったく違う表情を見ることができます。
▶ 「料理旅館 貴船ふじや」の宿泊プランを確認する宣材写真にも登場した貴船神社の石段
貴船神社の鳥居から本宮へ続く石段も、映画の宣材写真などに使われた印象的な場所です。

両側に朱色の春日灯籠が並ぶ光景は、貴船神社を代表する撮影スポットでもあります。映画の場面や写真と見比べながら歩くと、貴船観光がさらに面白くなります。
夏の貴船名物!川床で流しそうめんを味わう
夏の貴船といえば、貴船川の上に座敷を設けて料理を楽しむ「川床」が有名です。
道路沿いには川床料理を提供する旅館が並んでいますが、本格的な会席料理は1人1万円を超えることも珍しくありません。雰囲気は抜群ですが、気軽な昼食としては少し勇気のいる金額です。
そこで今回訪れたのが、貴船で唯一流しそうめんを楽しめる料理旅館「ひろ文」です。
1万円を超える川床料理もあるなか、流しそうめんは2,000円

僕が訪れた2026年7月時点で、ひろ文の流しそうめんは1人2,000円でした。
流しそうめんとして考えると少し高く感じるかもしれません。しかし、貴船川の真上に設けられた川床に座り、目の前を流れてくるそうめんを食べられることを考えると、十分に体験する価値があります。
階段を下りて川床へ入ると、道路を歩いていたときよりもさらに涼しくなりました。座席と水面の距離が近く、足元から冷たい空気が上がってきます。川の音もかなり大きく、文字どおり川の中で食事をしているような感覚でした。
そうめんは専用のレーンを通って何度かに分けて流れてきます。最後に流れてくる梅風味の赤いそうめんが終了の合図です。体感時間は10分ほどです。
料理そのものはシンプルですが、貴船の自然と一緒に味わうことで、普通のそうめんとはまったく違う思い出になりました。
約1時間待ちだった当日の混雑状況
ひろ文の流しそうめんは非常に人気があります。
僕が訪れたのは平日の朝でしたが、受付前からすでに列ができており、食べ始めるまで1時間近く待ちました。土日祝日や夏休み、お盆の時期はさらに混雑する可能性があります。
ひろ文の公式案内では予約を受け付けておらず、混雑時には数時間待つ場合もあると案内されています。また、料金は現金払いのみで、雨天時や貴船川が増水している場合は中止になります。
流しそうめんが目的なら、受付開始時間より少し早めに到着する予定を組んだ方がよいでしょう。待ち時間が長い場合は、呼び出し状況を確認しながら貴船神社を参拝する方法もあります。
水の神様を祀る「貴船神社」へ
流しそうめんを食べたあとは、貴船神社を参拝しました。

貴船神社は全国に数多くある水神を祀る神社の総本宮で、万物の命の源である水を司る神様が祀られています。
創建された正確な年代は分かっていませんが、約1300年前にはすでに社殿の建て替えが行われた記録が残る、非常に古い神社です。
「きぶね」ではなく、濁らない「きふね」と読む理由
周辺の地名や貴船口駅は「きぶね」と読みますが、神社名は「きふねじんじゃ」と濁らずに読みます。
これは、命の源である清らかな水が濁らないようにという願いが込められているためといわれています。
また、貴船は古くから「氣生根」とも表されてきました。「氣が生まれる根源の場所」という意味があり、神様の氣に触れることで元気がよみがえる場所として信仰されています。
鳥居から本宮へ続く87段の石段と朱色の春日灯籠
貴船神社の鳥居をくぐると、本宮へ続く石段が現れます。
約87段ある石段の両側には、朱色の春日灯籠がずらりと並んでいます。灯籠の朱色と青もみじの緑の組み合わせが美しく、貴船神社の中でも特に有名な撮影場所です。

写真では何度も見たことがありましたが、実際に立ってみると、石段の先へ吸い込まれていくような奥行きがあります。参拝者が途切れるタイミングを待てば、かなりきれいな写真を撮れます。
貴船神社の本宮と御祭神・高龗神
石段を上った先にあるのが貴船神社の本宮です。
本宮の御祭神は、水を司る高龗神(たかおかみのかみ)です。「龗」という難しい漢字には龍の意味があり、高龗神は雨を降らせたり、雨を止ませたり、水の流れを調整する神様として信仰されてきました。
貴船神社の公式説明では、高龗神と闇龗神(くらおかみのかみ)は、名前は違っても同じ神様であるとする社記が紹介されています。また、高龗神を山の龍神、闇龗神を谷や深い場所の龍神とする説もあるそうです。
水は人間だけでなく、動物や植物を含むすべての命に必要です。
普段は蛇口をひねれば当たり前のように出てくる水ですが、貴船の清流と水神を目の前にすると、そのありがたさを改めて考えさせられました。
貴船神社が「絵馬発祥の地」といわれる理由

貴船神社は、絵馬発祥の地としても知られています。
かつて朝廷は、日照りが続いたときには黒い馬を、長雨を止めたいときには白い馬や赤い馬を奉納して祈願していました。
しかし、毎回本物の馬を奉納するのは簡単ではありません。やがて本物の馬に代わり、馬の姿を描いた板を奉納するようになりました。これが現在、神社で願い事を書く「絵馬」の原型になったといわれています。
本宮の境内には、白馬と黒馬の像も置かれています。水の神社と馬がどのようにつながっているのかを知ってから見ると、印象が変わります。
水に浮かべると文字が現れる「水占みくじ」
貴船神社で特に人気があるのが「水占みくじ」です。
最初は何も書かれていない白い紙に見えますが、境内にある御神水へ浮かべると、少しずつ文字が現れます。水の神様を祀る貴船神社らしいおみくじです。
紙を水に浮かべると、最初は薄かった文字が徐々にはっきりしてきます。結果が一気に見えるのではなく、少しずつ浮かび上がる時間も含めて楽しめました。

僕が引いた水占みくじの結果は「大吉」でした。
貴船神社へ行くまで、自分の中ではあまり良い流れが来ている感覚がありませんでした。
そのような時期に水の神社を訪れ、水に浮かべたおみくじから大吉の文字が現れたため、単なる偶然以上にうれしく感じました。
冷たく澄んだ御神水をいただく

本宮の石垣からは、貴船山から湧き出した御神水が流れています。
手で触れてみると驚くほど冷たく、真夏とは思えない温度でした。長い時間をかけて山の中を通り、きれいにろ過された水だと考えると、冷たさだけでなく不思議な力強さも感じます。
御神水には水占みくじを浮かべる場所とは別に、飲用するための場所があります。持ち帰り用の容器も用意されていますが、自分で空の容器を持参することもできます。
参拝中に感じた不思議な力と「水のように生きる」という気づき

ここからは貴船神社の公式な説明ではなく、僕個人が参拝中に感じたことです。(スピ注意!)
本宮で手を合わせたとき、これまで無事に生活できたことへの感謝と、自分がこれから達成したい目標を伝えました。その瞬間、言葉では説明しにくいのですが、体の内側に何かが入ってくるような力を感じました。
もちろん、それが本当に神様の力だったのか、川の音や山の空気によって気持ちが集中していただけなのかは証明できません。ただ、僕自身がその場で何かを感じたことは事実です。
そして、参拝後に特に心に残ったのが「水のように生きる」という考えでした。
水は一つの場所に固まらず、形を変えながら流れていきます。岩にぶつかっても正面から壊そうとはせず、横へ回り込みながら先へ進みます。流れが速いときもあれば、静かにたまるときもあります。
自分の理想や周囲との比較に縛られて焦っていると、何としても同じ方向へ進まなければならないと思ってしまいます。しかし、水のように状況に合わせて形を変え、ときには流れに任せながらも、少しずつ先へ進む生き方もあるのではないかと思いました。
これを神様からのメッセージだったと断定することはできません。それでも、今の自分に必要な考えとして受け取れたことは、貴船神社を訪れた大きな意味だったと思います。
本宮から結社・奥宮まで歩いてみました
貴船神社は本宮だけで終わりではありません。
貴船川に沿って、本宮・結社・奥宮の三つのお社が離れた場所にあります。この三社を巡ることを「三社詣」と呼びます。
道路沿いでは、下流から本宮、結社、奥宮の順に並んでいます。本宮から奥宮までは上り坂が続きますが、川床料理のお店や貴船川を眺めながら歩けるため、それほど長くは感じませんでした。
縁結びで知られる結社(中宮)

本宮から奥宮へ向かう途中にあるのが、結社(ゆいのやしろ)です。中宮とも呼ばれています。
御祭神は磐長姫命(いわながひめのみこと)で、縁結びの神様として信仰されています。平安時代には、夫との関係に悩んでいた歌人・和泉式部が参拝し、復縁の願いがかなったという伝承も残されています。
結社のすぐ近くには、流しそうめんを食べた「ひろ文」があります。流しそうめんの待ち時間に参拝する場合も、移動しやすい場所です。
人が少なく、静かな空気が流れる奥宮

結社からさらに坂道を上ると、貴船神社の奥宮に到着します。
本宮は多くの参拝者でにぎわっていましたが、奥宮まで来る人は少なく、境内には落ち着いた空気が流れていました。周囲を背の高い木々に囲まれており、本宮よりも山奥の神域という雰囲気があります。
現在の本宮が造られる以前は、この奥宮が貴船神社の中心でした。洪水によって社殿が被害を受けたため、1055年に本宮が現在の場所へ移されたと伝わっています。
奥宮には、貴船神社の創建に関わる玉依姫命が乗ってきた「黄船」を石で包んだとされる船形石も残されています。
奥宮本殿の下にあると伝わる「龍穴」とは
奥宮で最も神秘的な存在が、本殿の真下にあるとされる「龍穴」です。
龍穴とは、大地の気が集まったり、噴き出したりすると考えられてきた場所です。貴船神社の龍穴は日本三大龍穴の一つに数えられるとされています。
ただし、龍穴が地面に開いた穴として公開されているわけではありません。貴船神社の公式案内でも、人の目に触れてはならない神聖な場所であり、誰も見ることが許されていないと説明されています。
そのため、境内にある石や「権地」と書かれた場所を龍穴だと思う人もいるようですが、実際の龍穴は奥宮本殿の下にあり、外から見ることはできません。
見えないからこそ、古くから大切に守られてきた場所なのだと思います。
貴船神社から鞍馬寺へ行く2つの方法
貴船神社と鞍馬寺は山を挟んだ反対側にあります。
距離だけを見ると近いのですが、両方を一日で巡る場合は、山を越えるか、いったん貴船口駅まで戻る必要があります。
鞍馬山を越えて鞍馬寺へ向かうハイキングコース
一つ目は、貴船神社側にある鞍馬寺西門から山へ入り、奥の院魔王殿や木の根道、本殿金堂を通って鞍馬駅方面へ下るルートです。
鞍馬寺の見どころを一通り巡れる一方、貴船側から入ると急な上り坂が続きます。単なる観光散歩ではなく、1時間以上の山歩きになるため、歩きやすい靴と飲み物が必要です。
雨のあとは道が滑りやすくなり、倒木などで通行状況が変わる可能性もあります。山越えを考えている人は、事前に鞍馬寺の公式情報を確認した方が安心です。
貴船口駅まで戻り、電車で鞍馬駅へ向かう方法
二つ目は、京都バスで貴船口駅まで戻り、叡山電車で鞍馬駅へ向かう方法です。
貴船口駅から鞍馬駅までは一駅なので、電車に乗っている時間はわずかです。僕は流しそうめんの行列や貴船神社の参拝ですでにかなり歩いていたため、こちらの方法を選びました。
山越えより移動時間を短縮でき、鞍馬寺へ到着してからの体力も残せます。本殿金堂だけを参拝したい人や、登山に慣れていない人には電車で移動する方法がおすすめです。
鞍馬駅から鞍馬寺の本殿金堂を目指す

鞍馬駅に到着すると、駅前で大きな天狗の像が出迎えてくれます。
鞍馬山は、幼少期の源義経である牛若丸が天狗から剣術を教わったという伝説が残る場所です。駅を出た時点から、貴船とはまた違った不思議な雰囲気があります。
鞍馬駅から鞍馬寺の仁王門までは徒歩数分です。仁王門で愛山費を納め、そこから本殿金堂を目指します。
ケーブルカーと徒歩、どちらで登る?
鞍馬寺の本殿金堂へ向かう方法は、ケーブルカーと徒歩の二つです。
ケーブルカーを利用すると約2分で多宝塔駅まで上れます。ただし、多宝塔駅から本殿まではさらに10分ほど歩く必要があり、完全に階段や坂道を避けられるわけではありません。
僕は鞍馬山の雰囲気を直接感じたかったため、ケーブルカーを使わずに九十九折参道を歩きました。
愛山費500円を納めて徒歩で山登り

鞍馬山へ入る際は、仁王門で500円の愛山費を納めます。
これは徒歩を選んだ場合だけ必要な料金ではなく、鞍馬山へ入山する人が納めるものです。山の自然や参道を守るために使われています。
ケーブルカーを利用する場合は、愛山費とは別に大人片道200円の「ケーブル寄進」が必要です。一般的な鉄道運賃ではなく、堂舎の維持に協力した人がケーブルカーを利用できる仕組みになっています。
料金や入山時の注意事項は鞍馬寺公式サイトで確認できます。
本殿までは約30分、階段が多く想像以上にきつい
仁王門から本殿金堂までは、徒歩で約30分かかりました。
距離だけを見るとそれほど長くありませんが、坂道と階段が多く、想像していたよりもきつかったです。貴船を歩き回ったあとだったこともあり、途中で何度か立ち止まりながら登りました。
参道は木々に囲まれているため日差しは比較的避けられます。それでも夏は湿度が高く、登っていると汗が出てきます。飲み物を持たずに入山するのは避けた方がよいでしょう。
登山途中に現れる由岐神社
徒歩で登るルートの途中には、由岐神社があります。
由岐神社は鞍馬寺を守る鎮守社で、京都三大奇祭の一つに数えられる「鞍馬の火祭」で有名です。中央が通路のように分かれた割拝殿があり、山の斜面を利用した独特な造りになっています。

ケーブルカーを利用すると由岐神社を通らないため、参拝したい人は徒歩ルートを選ぶ必要があります。

宇宙とのつながりを感じる鞍馬寺

長い階段と坂道を上り終えると、ようやく鞍馬寺の本殿金堂に到着します。
鞍馬寺は770年に鑑禎上人によって開かれたと伝わる古い寺院です。源義経や天狗の伝説で有名ですが、実際に調べてみると「宇宙」という言葉が公式の教えに何度も登場します。
単に観光客が作った都市伝説ではなく、鞍馬寺そのものが宇宙生命や宇宙エネルギーについて説いている、かなり独特な寺院です。
鞍馬寺の御本尊「尊天」とは
鞍馬寺の御本尊は「尊天(そんてん)」です。
鞍馬寺の公式な教えでは、尊天を人間をはじめとするすべての存在を生み出す「宇宙生命・宇宙エネルギー」であり、宇宙の真理そのものと説明しています。
尊天の働きは、次の三尊によって表されています。
- 月の精霊であり「愛」を表す千手観世音菩薩
- 太陽の精霊であり「光」を表す毘沙門天王
- 大地の霊王であり「力」を表す護法魔王尊
この三尊を別々の存在ではなく、一体の尊天として信仰しています。
「宇宙エネルギー」という言葉だけを見ると、最近作られたスピリチュアルな話のように感じます。しかし、鞍馬寺ではこれを正式な信仰として説明している点が興味深いところです。
本殿金堂と山の上から眺める景色

本殿金堂は鞍馬山の中腹にあり、境内からは周囲の山々を見渡せます。
30分近く階段を上ったあとに広い境内へ出るため、到着した瞬間には強い開放感がありました。貴船神社が川と水に包まれた場所だとすれば、鞍馬寺は山と空に近い場所という印象です。
本殿金堂には、尊天の働きを象徴する千手観音菩薩、毘沙門天王、護法魔王尊が奉安されています。御本尊は秘仏で、60年に一度、丙寅の年に開扉されるそうです。
宇宙のエネルギーを表す「金剛床」
本殿金堂の正面には、幾何学的な模様が描かれた「金剛床」があります。

金剛床は星曼荼羅を表しており、鞍馬寺によると、宇宙のエネルギーである尊天の波動が広がる様子を表現しています。人間の内側にある宇宙の力と、宇宙そのものである尊天が一体になるための修行の場です。
中央部分に立って両手を広げると宇宙のエネルギーを受け取れるという話が広まり、現在では鞍馬寺を代表するパワースポットとして知られています。
ただし、「中央に立てば願いがかなう」という単純な場所ではなく、本来は自分と宇宙とのつながりを意識する修行の場です。写真撮影をするときも、神聖な場所であることは忘れないようにしたいところです。
狛犬ではなく「阿吽の虎」が置かれている理由

鞍馬寺には、一般的な狛犬ではなく「阿吽の虎」が置かれています。
虎は、尊天を構成する毘沙門天王のお使いとされる神獣です。毘沙門天王が現れたのが寅の月・寅の日・寅の刻だったという伝承から、鞍馬山では虎が大切にされています。
口を開けた「阿」と口を閉じた「吽」が一対になっており、物事の始まりから終わりまで、宇宙のすべてを表しているそうです。
神社や寺院では無意識に狛犬だと思って通り過ぎてしまいがちですが、よく見ると顔つきや体の模様がしっかり虎になっています。
奥の院魔王殿と「金星から降臨した護法魔王尊」の伝承
鞍馬寺の中でも、特に都市伝説的な話が多いのが奥の院魔王殿です。
魔王殿は本殿金堂からさらに奥の山道へ進んだ場所にあります。鞍馬寺の公式案内では、太古に護法魔王尊が降臨した磐座・磐境として崇拝されてきた場所と説明されています。
一方、京都府観光連盟などの観光案内では、護法魔王尊は約650万年前に金星から飛来したとも紹介されています。
ここから「鞍馬寺には金星人が祀られている」「鞍馬山は宇宙人が降り立った場所」という都市伝説が広がりました。
ただし、護法魔王尊をそのまま生物学的な宇宙人や金星人と考えるのは少し違います。鞍馬寺の教えでは、護法魔王尊は尊天の「力」を表す大地の霊王であり、宇宙生命や宇宙エネルギーを象徴する存在です。
つまり、次のように分けて考えるのが分かりやすいと思います。
- 鞍馬寺公式の教えでは、護法魔王尊は宇宙生命を表す尊天の一尊
- 魔王殿は、護法魔王尊が降臨した場所として信仰されている
- 「650万年前に金星から来た」という話は伝承として紹介されている
- 実在する宇宙人だったという科学的な証拠があるわけではない
歴史的事実として受け取るのではなく、鞍馬山に残る壮大な信仰や伝承として見ると非常に面白いです。
魔王殿へ行くには本殿金堂からさらに奥の院参道を進み、木の根道や不動堂、義経堂などを通る必要があります。そのまま進むと貴船側へ下りられますが、本格的な山道になるため、時間と体力には余裕を持っておきましょう。
夏の貴船・鞍馬を一日で巡る際の注意点
貴船神社と鞍馬寺は一日で巡れますが、想像している以上に歩きます。
特に貴船神社の奥宮まで参拝し、さらに鞍馬寺を徒歩で登る場合は、スニーカーなど歩きやすい靴が必要です。鞍馬寺の九十九折参道は階段や坂が多く、サンダルではかなり歩きにくいと思います。
流しそうめんを食べる場合は、朝早く貴船へ到着する予定を組むのがおすすめです。僕が訪れた平日でも約1時間待ちだったため、休日は待ち時間だけで予定が大きく変わる可能性があります。
また、流しそうめんは現金払いのみで、雨や川の増水によって当日中止になることがあります。天気予報と公式サイトを確認してから向かいましょう。
帰りの京都バスや叡山電車の時刻も先に確認しておくと安心です。貴船は京都市内ですが、中心部のように次々と電車やバスが来るわけではありません。特に夕方以降は、一本逃すと長く待つ可能性があります。
まとめ|夏の貴船は涼しさ・水・自然を全身で感じられる場所でした

今回の貴船・鞍馬の日帰り旅で最も印象に残ったのは、やはり「水」です。
貴船川の音、人生で一番きれいだと思った透明な水、川床で食べた流しそうめん、貴船神社の冷たい御神水、水に浮かべると大吉が現れた水占みくじ。貴船では、移動中も参拝中も常に水の存在を感じました。
一方の鞍馬寺では、山を登った先に宇宙生命を表す尊天や金剛床があり、貴船神社とは方向の違う不思議さがあります。
水の流れを感じる貴船神社と、宇宙とのつながりを説く鞍馬寺。この二つを同じ日に巡ることで、単なる京都観光では終わらない濃い一日になりました。
大阪駅からは約2時間かかりますが、夏の暑さから離れて自然の中で過ごしたい人にはおすすめの場所です。
そして僕自身にとっては、貴船の水を通して「水のように、形を変えながら流れていけばよい」と気づけたことが、今回の旅で得た一番大きなものだったのかもしれません。



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